労災就学援護費不支給処分取消請求事件  戻る
平成15年9月4日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  平成11(行ヒ)99  
主   文
原判決を破棄し,第1審判決を取り消す。
本件を東京地方裁判所に差し戻す。
理   由
1 本件は,労働者災害補償保険法(平成11年法律第160号による改正前のも の。以下「法」という。)に基づく遺族補償年金の受給権者である上告人が,被上 告人に対し,外国の大学に進学した子の学資に係る労災就学援護費の支給申請をしたところ,被上告人から,同大学が労災就学援護費の支給対象となる学校教育法1条所定の学校に当たらないとして,労災就学援護費を支給しない旨の決定(以下「本件決定」という。)を受けたため,その取消しを求める事案である。
 原審は,本件決定が抗告訴訟の対象となる行政処分に該当せず,本件訴えは不適法であるとして,これと同一の理由により本件訴えを却下した第1審判決に対する上告人の控訴を棄却した。
2 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次の とおりである。
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 そうすると,労働基準監督署長の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定 は,法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使であり,被災労働者又はその遺族の上記権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものであるから,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものと解するのが相当である。論旨は理由がある。