借家法(大正十年四月八日法律第五十号)
廃止:H04.8.1(H03.10.4法90)

第一条 建物ノ賃貸借ハ其ノ登記ナキモ建物ノ引渡アリタルトキハ爾後其建物ニ付物権ヲ取得シタル者ニ対シ其ノ効力ヲ生ス
2 民法第五百六十六条第一項及第三項ノ規定ハ登記セサル賃貸借ノ目的タル建物カ売買ノ目的物ナル場合ニ之ヲ準用ス
3 民法第五百三十三条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス

第一条ノ二 建物ノ賃貸人ハ自ラ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ非サレハ賃貸借ノ更新ヲ拒ミ又ハ解約ノ申入ヲ為スコトヲ得ス

第二条 当事者カ賃貸借ノ期間ヲ定メタル場合ニ於テ当事者カ期間満了前六月乃至一年内ニ相手方ニ対シ更新拒絶ノ通知又ハ条件ヲ変更スルニ非サレハ更新セサル旨ノ通知ヲ為ササルトキハ期間満了ノ際前賃貸借ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ賃貸借ヲ為シタルモノト看做ス
2 前項ノ通知ヲ為シタル場合ト雖モ期間満了ノ後賃借人カ建物ノ使用又ハ収益ヲ継続スル場合ニ於テ賃貸人カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキ亦前項ニ同シ

第三条 賃貸人ノ解約申入ハ六月前ニ之ヲ為スコトヲ要ス
2 前条第二項ノ規定ハ賃貸借カ解約申入ニ因リテ終了シタル場合ニ之ヲ準用ス

第三条ノ二 一年未満ノ期間ノ定アル賃貸借ハ之ヲ期間ノ定ナキモノト看做ス

第四条 賃貸借ノ期間満了又ハ解約申入ニ因リテ終了スヘキ転貸借アル場合ニ於テ賃貸借カ終了スヘキトキハ賃貸人ハ転借人ニ対シ其ノ旨ノ通知ヲ為スニ非サレハ其ノ終了ヲ以テ転借人ニ対抗スルコトヲ得ス
2 賃貸人カ前項ノ通知ヲ為シタルトキハ転貸借ハ其ノ通知ノ後六月ヲ経過スルニ因リテ終了ス

第五条 賃貸人ノ同意ヲ得テ建物ニ附加シタル畳、建具其ノ他ノ造作アルトキハ賃借人ハ賃貸借終了ノ場合ニ於テ其ノ際ニ於ケル賃貸人ニ対シ時価ヲ以テ其ノ造作ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得賃貸人ヨリ買受ケタル造作ニ付亦同シ

第六条 前七条ノ規定ニ反スル特約ニシテ賃借人ニ不利ナルモノハ之ヲ為ササルモノト看做ス

第七条 建物ノ借賃カ土地若ハ建物ニ対スル租税其ノ他ノ負担ノ増減ニ因リ、土地若ハ建物ノ価格ノ昂低ニ因リ又ハ比隣ノ建物ノ借賃ニ比較シテ不相当ナルニ至リタルトキハ契約ノ条件ニ拘ラス当事者ハ将来ニ向テ借賃ノ増減ヲ請求スルコトヲ得但シ一定ノ期間借賃ヲ増加セサルヘキ特約アルトキハ其ノ定ニ従フ
2 借賃ノ増額ニ付当事者間ニ協議調ハサルトキハ其ノ請求ヲ受ケタル者ハ増額ヲ正当トスル裁判ガ確定スルニ至ルマデハ相当ト認ムル借賃ヲ支払フヲ以テ足ル但シ其ノ裁判ガ確定シタル場合ニ於テ既ニ支払ヒタル額ニ不足アルトキハ不足額ニ年一割ノ割合ニ依ル支払期後ノ利息ヲ附シテ之ヲ支払フコトヲ要ス
3 借賃ノ減額ニ付当事者間ニ協議調ハサルトキハ其ノ請求ヲ受ケタル者ハ減額ヲ正当トスル裁判ガ確定スルニ至ルマデハ相当ト認ムル借賃ノ支払ヲ請求スルコトヲ得但シ其ノ裁判ガ確定シタル場合ニ於テ既ニ支払ヲ受ケタル額ガ正当トセラレタル借賃ヲ超ユルトキハ超過額ニ年一割ノ割合ニ依ル受領ノ時ヨリノ利息ヲ附シテ之ヲ返還スルコトヲ要ス

第七条ノ二 居住ノ用ニ供スル建物ノ賃借人ガ相続人ナクシテ死亡シタル場合ニ於テ其ノ当時婚姻又ハ緑組ノ届出ヲ為ササルモ賃借人ト事実上夫婦又ハ親子ト同様ノ関係ニ在リタル同居者アルトキハ其ノ者ハ賃借人ノ権利義務ヲ承継ス但シ相続人ナクシテ死亡シタルコトヲ知リタル後一月内ニ賃貸人ニ対シ反対ノ意思ヲ表示シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
2 前項本文ノ場合ニ於テハ建物ノ賃貸借関係ニ基キ生ジタル債権又ハ債務ハ同項ノ規定ニ依リ賃借人ノ権利義務ヲ承継シタル者ニ帰属ス

第八条 本法ハ一時使用ノ為建物ノ賃貸借ヲ為シタルコト明ナル場合ニハ之ヲ適用セス

附 則

第九条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

第十条 本法施行ノ地区ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

第十一条 本法ハ本法施行前ニ為シタル建物ノ賃賃借ニ付亦之ヲ適用ス但シ本法施行前ニ賃貸人ノ特約ノ申入アリタル場合ニ於テハ賃貸借ハ既ニ経過シタル期間ヲ算入シ六月ヲ経過スルニ因リテ終了ス

附 則 (昭和十六年三月十日法律第五十六号)

1 本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
2 本法ハ本法施行前ニ為シタル建物ノ賃貸借ニ付亦之ヲ適用ス

附 則 (昭和四十一年六月三十日法律第九十三号)

(施行期日)
1 この法律は、昭和四十一年七月一日から施行する。
(経過措置等)
6 この法律による改正後の規定は、各改正規定の施行前に生じた事項にも通用する。ただし、改正前の規定により生じた効力を妨げない。
7 この法律による改正後の借地法第十二条第二項及び第三項並びに借家法第七条第二項及び第三項の規定は、当該改正規定の施行前に地代又は借賃の増減の請求があつた場合には、通用しない。
8 この法律による改正後の借地法第十二条第二項又は借家法第七条第二項の規定は、地代家賃統制令(昭和二十一年勅令第四百四十三号)の適用がある地代又は家賃については、請求に係る増加額のうち、同令による停止統制額又は認可統制額をこえる部分に限り適用する。
9 この法律による改正後の借家法第七条ノ二の規定は、附則第六項の規定にかかわらず、当該改正規定の施行前に賃借人が死亡し、その施行後に相続人の全員が相続の放棄をした場合にも適用する。

附則 (平成三年十月四日法律第九十号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(建物保護に関する法律等の廃止)
第二条 次に掲げる法律は、廃止する。
 建物保護に関する法律(明治四十二年法律第四十号)
 借地法(大正十年法律第四十九号)
 借家法(大正十年法律第五十号)

(旧借地法の効力に関する経過措置)
第三条 接収不動産に関する借地借家臨時処理法(昭和三十一年法律第百三十八号)第九条第二項の規定の適用については、前条の規定による廃止前の借地法は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。

(経過措置の原則)
第四条 この法律の規定は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、附則第二条の規定による廃止前の建物保護に関する法律、借地法及び借家法の規定により生じた効力を妨げない。

(借地上の建物の朽廃に関する経過措置)
第五条 この法律の施行前に設定された借地権について、その借地権の目的である土地の上の建物の朽廃による消滅に関しては、なお従前の例による。

(借地契約の更新に関する経過措置)
第六条 この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による。

(建物の再築による借地権の期間の延長に関する経過措置)
第七条 この法律の施行前に設定された借地権について、その借地権の目的である土地の上の建物の滅失後の建物の築造による借地権の期間の延長に関してはなお、従前の例による。
2 第八条の規定は、この法律の施行前に設定された借地権については、適用しない。

(借地権の対抗力に関する経過措置)
第八条 第十条第二項の規定は、この法律の施行前に借地権の目的である土地の上の建物の滅失があった場合には、適用しない。

(建物買取請求権に関する経過措置)
第九条 第十三条第二項の規定は、この法律の施行前に設定された借地権については、適用しない。
2 第十三条第三項の規定は、この法律の施行前に設定された転借地権については、適用しない。

(借地条件の変更の裁判に関する経過措置)
第十条 この法律の施行前にした申立てに係る借地条件の変更の事件については、なお従前の例による。

(借地契約の更新後の建物の再築の許可の裁判に関する経過措置)
第十一条 第十八条の規定は、この法律の施行前に設定された借地権については、適用しない。

(建物賃貸借契約の更新拒絶等に関する経過措置)
第十二条 この法律の施行前にされた建物の賃貸借契約の更新の拒絶の通知及び解約の申入れに関しては、なお従前の例による。

(造作買取請求権に関する経過措置)
第十三条 第三十三条第二項の規定は、この法律の施行前にされた建物の転貸借については、適用しない。

(借地上の建物の賃借人の保護に関する経過措置)
第十四条 第三十五条の規定は、この法律の施行前に又は施行後一年以内に借地権の存続期間が満了する場合には、適用しない。